年齢確認日記

こんちは!
それは昼下がり、とある街での僕の挑戦―――
 
教科書を運搬するアルバイトの帰り、僕は電車に乗りながら思いました。
「今日は酒を買って帰ろう」と。
僕は今年20歳になったピチピチ成人ボーイ。
今まで閉じていた「未成年者飲酒禁止法」という名の門が開き、さあ各馬一斉にスタート状態。
つまりは、お酒が大好きな時期であるのです。
そんな僕に、「夏」、「仕事終わり」というキーワードが揃えば、「お酒」という言葉が浮かんでくるのも当然と言えましょう。
しかし学生という身分上、僕にはお金がありません。できれば安くお酒が飲みたいもの。
と、いうことで、僕は駅の近くにある、安さの殿堂「ドン・キホーテにてお酒を買う事にしました。
 
好きなお酒をかごに入れ、レジの店員さんに渡す僕。
しかし、僕は童顔なため、20歳にも関わらず年齢確認をされてしまいました。
 
店員 「何か、年齢を確認できるものとかありますかァ?」
 
店員さんの声は明らからにこちらを疑ってかかっていました。
むしろ、「お前絶対20歳以下だろ? ここは通さねぇぜ? あぁん?」
という感じさえ匂わせる口調でした。
 
俺 「・・・・・・」
僕の中で何かがメラメラと燃えるのがわかりました。
 
俺 「・・・『年齢が確認できるもの』とはなんですか?」
店員「なんかァ、例えば、免許証とか、保険証とか学生証とかですねェ。」
俺 「・・・とか・・・ですか。 ちょっと出直してきます。 すみません。」
店員「え? あ、はい。」
 
僕がそそくさとレジを後にした時の店員さんの顔は、
「やっぱり未成年じゃねぇかよ。 恥ずかしくて逃げたのかうんこぶりぶり」と言いたそうな顔でした。被害妄想もここまでくると芸術の域です。
しかし僕は恥ずかしくて逃げた訳ではなく、
「免許証、保険証、学生証を使わずに年齢確認をする方法を探す。」ことにしたのです。
これさえわかれば、うっかりそれらを忘れてしまってもお酒を買えますからね!
 
とりあえず、3つ程案が浮かんだ後に僕はもう一度レジに並び、同じ店員さんに再開。
 
俺  「お願いします〜」
店員 「・・・あの、だから年齢確認ができるものを・・・」
俺  「いやぁ〜、どれみふぁド〜ナッツ!っつってね!」
店員「え!!!?」
俺  「いやいや〜、オーレンジャーとか、ビーファイターカブトとかねぇ〜!」
店員 「なんすか。」
俺  「ゲームボーイの形したシャンプーには、輪投げみたいなゲームがついてて!」
店員 「なんすかなんすか」
俺  「ポケモンのシール列伝には、『もっと強いヒトカゲがいるぞ!』みたいな!!」
店員 「なんなんすか。」
俺  「・・・これでもダメですか?」
店員 「何がすか。
俺  「また来ます。」
 
・・・ダメでした。
プランA「20代にとって深い出深いものを叫ぶ案」は散りました。
個人的にすごい懐かしいと思うんですけどね。 飛んでブーリンとか。
しかしよく見てみると店員さんはどうも高校生のようだったので、世代的にはギリギリ違うのかもしれませんね。
 
次のプランに行きましょう。 僕は再びレジへ並びます。
 
レジの人も、3回目の僕の訪問に警戒心がMAXです。
 
店員 「年齢を確認できるものはありますか?」
俺  「あなたの周りに、20歳の方はいますか?」
店員 「え?」
俺  「店員さんの周りにちょうど20歳の方はいらっしゃいますか?」
店員 「いとこがちょうど20歳ですけど・・・」
俺  「ひつじ年!!!!
店員 「え!!?」
俺  「いとこさんはひつじ年ですよ!!! ひつじ年! 僕もなんですよ!!!」
店員 「年齢確認できるものがないんですか?」
俺  「また来ます。
 
プランBの「20代の質問、即答しちゃおう案」も見事に砕け散りました。
 
かくなる上は・・・禁断のプランCをするしかありません。
僕は再びレジに並びました。 店員さんが僕の姿を見てうんざりしています。
そして僕はレジにお酒のはいったカゴを置き、プランCを発動。
 
店員「年齢確認ができる物が無ければ販売できないんすけど。」
俺 「僕の父親が、警視庁のトップだとしても・・・ですか?」
店員「なおさらです。
俺 「また来ます。」

権力者の陰をチラつかせる作戦も瞬殺でした。そして僕の父親は不動産屋です。
 
そして4回目。
店員さんは僕を発見するやいなや、トランシーバーで何やら言っています。
 
俺  「お願いします。」
店員 「次は何をするんすか? 年齢確認は、保険証とか免許証じゃないとできません!」
俺  「あ、じゃあこれ、保険証です。 あと学生証です。
店員 「ぇ」
 
先程まで悪あがきをしていた未成年と思い込んでいた人物が、
まさか普通に保険証を出してしかも成人していたとは思わなかったのか、店員さんは何とも言えない顔をしていました。
 

ごめんね。
 
店員さんは僕に謝ってくれましたが、謝るのは僕の方です。
高校生相手に大人気ないことをしてしまったなぁ。と反省しています。
 
俺  「色々とごめんなさい。 失礼ですがおいくつ何ですか?」
店員 「今年29歳す。」
俺  「マジですみませんでした。」
年上かよ。
 
結果的には、保険証や学生証が無いと年齢確認は突破できませんでした。
まあそれはそれで当たり前な気もしますけどね!
では、今日はこのへんで失礼致します!
ではまた!