会社が『鉢底に入れる石の日』という祝日で休みになりました

こんにちは、ARuFaです。
本日6月23日(月)は平日。学校や会社へ登校・通勤する日です。
特に今日は月曜日。人々は訪れた月曜日を憎み絶望し、日本全国がドス黒い空気で覆われる日です。
しかしそのような中、いち会社員である本日の僕は・・・
 

「休みなんです。」
というのも、僕が入社した株式会社バーグハンバーグバーグには、『オリジナル祝日』という制度がありまして、
毎年6月になると、「6月に祝日が無くてムカつくから」という理由で、適当な祝日を勝手に作って会社全体がお休みになるのです。
そしてそれが、今日なんです。
ちなみにこれまでは、『ヘム鉄の日』や『父の父の日』というふざけた名前のオリジナル祝日が決行されたそうなのですが、
今年のオリジナル祝日の名は、『鉢底に入れる石の日』
 

簡単に説明すると、常に『鉢底に入れる石』を肌身離さず持ち歩かなくてはいけない祝日なのです。
 

最悪です。
 

で、これは数日前に『鉢底に入れる石の日』の詳細が社長から発表された時の写真。
僕を含めた社員全員が、社長から配られた「鉢底に入れる石」を抱えて絶望しているのがお分かりでしょうか。
祝日ということで会社が休みになるという喜びに、鉢底に入れる石を持ち歩かなくてはいけないという絶望が加わり、笑いながら号泣しそうになったことは言うまでもありません。
 

・・・さて、そんな祝日を迎えた僕ですが、本日は水族園に行く予定を立てました。
小さい頃には母によく連れて行ってもらっていましたが、大人になってからはめっきり行かなくなった水族園。
前々からずっと行きたいと思っていたので、この機会に行ってみましょう。
鉢底に入れる石はマジで邪魔ですが、社長命令なので持っていかざるを得ません。
 

と、いうわけで僕は自宅から一番近い水族園、葛西臨海水族園を目指して電車に乗り込みます。
平日の昼間から鉢底に入れる石を持ち歩いている人間はどうしても目立ちます。おかげさまで目的の駅に行くまでに3人もの学生から写真を撮られました。
 

しかし僕は負けません。
何故なら今日が『鉢底に入れる石の日』である以上、この石を手放せば休日は即終了。僕はただのズル休みクソカスウンチ野郎になってしまうからです。
それだけは避けなくてはいけないため、僕は何があろうと今日だけは常にこの石と一緒にいようと心に誓いました。
 

さあ、そんな誓いを立て、人目も気にせず電車に揺られること1時間。
僕はようやく目的地の葛西臨海公園駅に到着しました。
 

さすがに平日の昼間とあって学生や会社員等の姿は少ないですが、代わりに駅前には子連れの家族や高齢の方が多くいました。
そして、そこに降り立つのは鉢底に入れる石を持った会社員。まるで葬式にレオタードを着て参加したかのような場違い感でした。
しかしまあ、そんなことを気にしてもいちいち気にしていてもいられないので、僕は水族園へと向かいました。
 

そして、5分程歩いたところで水族園の入り口に到着。せっかくなので記念写真を撮りました。
ちなみに写真は三脚を使ったセルフタイマーです。
 

正直に言えば友人などと一緒に来たかったのですが、平日ということもあり予定が合わずに断念。
本当は一人だけ予定の合う友人はいたのですが、「鉢底に入れる石を持って水族園に行く」と告げた途端に連絡が取れなくなったのでお手上げです。
おかげさまで昨日までずっと、「友達とは何なのか」とずっと考えていましたからね。もしかしたら僕の友達はこの石だけなのかもしれません。
・・・あ、あともう一つ、ちょっといいですか。
 

「めっちゃ疲れました。」
そもそも休みにも関わらず常に石を持ち運ぶなんておかしいんですよ。ピラミッドを作らされてる奴隷じゃないんだから。
・・・しかし、ここまで来てしまってはもう引き返せません。
疲れと寂しさのあまり、僕はこの「鉢底に入れる石」にも人格を宿そうと入場券を2枚購入して水族園へと入場していきました。
 

「おお・・・・!」
水族園内へと入場すると、そこはまさに海の世界。
巨大な水槽の中で魚達が優雅に泳いでいました。
 

小さい頃は魚を見て何が楽しいのかわかりませんでしたが、大人になって改めて水族園に来るとこんなにも感動するものなのですね。
昔飲めなかったコーヒーを初めて美味しく感じた時のような、非常に新鮮な気持ちです。
 

そんでもってこれメチャクチャ邪魔です。
 

また、たくさんいる魚達の中には、このような個性的な魚もいました。何だか怖い顔をして、砂の中に出たり入ったりしています。
面白いですね。このような生き物がこの地球上に実在しているというだけでも、非常にドキドキします。
自分の見たことの無い物や、経験したことの無いことをすると、とてもワクワクしますよね。
 

で、これは経験したことのない重さと邪魔なのですが、全くワクワクしません。
きっとこのガラスの向こうの魚たちにも馬鹿にされているに違いありません。
 

しかし、気分転換に屋外へと行くと、そこで何やら魅力的な掲示板を発見。
なんと実際にウニやカニに触れるコーナーがあるとのことで、僕は先程まで落ち込んでいたとは思えないほどの大興奮でそのコーナーへと向かいました。
 

やはり人気のコーナーなだけあって、人気のヒトデには子供達がたくさんおり、石を持った社会人は人気のないウニに押しやられてしまいました。
しかしウニといえどなかなか触る機会はありません。というか触ったことが無い気がします。
そこで僕が、恐る恐る水槽の中野ウニを触ってみると・・・
 

「ゴリッ」
 

「ギャーーーーー!!!!」
 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
・・・何だかとってもゴリっとしており、予想外の感触に驚いた僕は必死に「鉢底に入れる石」を指で突いて感触をリセットしました。
いやぁー、あんな中途半端で嫌な感触は初めてです。ウニってマジで何なんですかね。
しかしそれにしても、「鉢底に入れる石」を指で突いた時のあの安心感のある固さには驚きました。
僕はこんなに安心できるものを持ち歩いていたんですね。何だか少しだけ鉢底に入れる石を見直しました。
 

その後は、僕の大好きなペンギンを見に行ったのですが・・・
 

何故か鉢底に入れる石に大量に群がってきて周囲がパニックになったり、
 

園内のレストランでマグロカツカレーを注文したは良いのですが、
 

直前にマグロが水槽で泳いているのを見てしまったので、ブルーな気持ちになりながら2皿食べたり、
 

「マグロとせいくらべ」というコーナーがあったので、
 

やってみたりし、それなりに楽しい時間を過ごしました。
 

そして最後は、恐らく世界一寂しい記念写真を撮影して、僕は家路につきました。
滞在時間にして1時間。何故それほどまでに短い時間で僕は家路についたのか。
答えは簡単。
 

疲れたからです。
いや本当に、勘弁して欲しいほど疲れました。
どうやら石は、僕が思っていたよりもずっと体力を消耗するようです。
結局、フタを開けてみると僕は通常の業務日よりも何倍も疲れるハメになりました。
これが休日といえるのでしょうか。いいえ、言えません。
 

・・・帰り際、七夕が近いということもあり、水族園の近くには多くの短冊が笹の葉に結ばれていました。
色とりどりの短冊には、どれも幼い字で思い思いの願い事が書かれています。
「あしがはやくなりますように」、「ぷりきゅあになれますように」、「ねこがかえますように」・・・
そんな可愛らしい願い事の中に、僕は何よりもまず優先すべき願い事を書き込み、笹の葉に結び付けました。
 
 

願わくば、二度とこんな休日が訪れませんように。